TOEIC(トイック)のリスニング・セクションで満点を取ることはそれほど難しいことではない。「発音」と「語順」の2つに注意しながらトレーニングを繰り返すだけだ。
そのトレーニング方法を詳しくご紹介しよう。加えて、Part 1〜4までのリスニング・セクションの各パートの攻略法とコツもご説明する。
「TOEIC難民」にならないための注意点もご紹介する。皆さまは「TOEIC難民」のことをご存知だろうか?初心者の方には特に知って頂きたいことだ!
目次
1. TOEICリスニング対策|「TOEIC難民」とは?
TOEICリスニング対策の前に、初心者の皆さまには特に注意して頂きたい「TOEIC難民」について触れることにする。
「TOEIC難民」とは、TOEIC(L&R)で高得点を獲得しても英語を使えない人のことを指す。英語を「聞く・読む」能力は高くても、「話す・書く」能力が低いので仕事で全く使えない人のことだ。TOEIC(L&R)は、英語を「聞く・読む」能力だけを測ることができる。その「聞く・読む」ことだけに特化した勉強をしていると「TOEIC難民」になってしまうのだ。
「TOEIC難民」の数は非常に多いので、皆さまの周りにも必ずいるはずだ。長年、企業の人事や研修担当者を悩ませてきた問題でもある。
実は、TOEIC(L&R)の点数だけを目標として、「聞く・読む」ことに特化した勉強よりも、「話す・書く」ことを加えた4技能を同時に鍛えた方が効率的にTOEIC(L&R)の点数を上げることができる。このコラムでは、「TOEIC難民」にならない、そして効率的にリスニングを強化していける勉強法をご紹介する。
なお、「TOEIC高得点でも仕事で使えない人」の詳細データなどについては「TOEIC試験とは|初心者が知るべき基礎知識!内容・コツ・注意点」の「7. TOEICの不都合な真実」を参考にして頂きたい。
2. TOEICリスニング・セクションの特徴と対策
TOEICのリスニング・セクションで満点を取ることを目標とする場合、まずは問題の特徴を理解しなければならない。特徴が理解できれば、対策、解き方のコツ、そして勉強方法が見えてくる。
リスニング・セクション全体の特徴と、そこから導き出される対策をご紹介する。
2.1. TOEICリスニング問題の特徴
- 英語を読み上げるスピードはナチュラル・スピードより若干遅め。
- 単語と単語の切れ目なく、流れるように発音されている(音声変化はナチュラル)。
- リーディング・セクション(Part 5〜7)と比べて単語の難易度は低い。
- アメリカ英語、イギリス英語、カナダ英語、オーストラリア英語の4種類の英語の訛り(なまり)はあまり強くない。
2.2. TOEICリスニング問題の対策
- 音声変化(リエゾン)に対応しておくこと:英語が読み上げられるスピードは、ナチュラルより若干遅いが、単語と単語が切れ目なく発音されているので、スピード対策よりも、「音声変化(リエゾン)」の基本をおさえておく必要がある。音声変化に対応するには、単語のアクセントの位置、リズム(強弱)、イントネーション(抑揚)等の発音の基礎知識も必要となる。
- 英語を英語のまま英語の語順で理解できるようにすること:聞いた英語を頭の中で日本語に訳しながら理解する時間はない。英語を英語のまま、日本語に訳さずに、そして英語の語順通りに前から理解できるよう、「英語回路」を作る必要がある。
- アメリカ英語とイギリス英語のなまりに慣れておくこと:カナダ英語はアメリカ英語に近い。オーストラリア英語はイギリス英語に近いので、アメリカ英語とイギリス英語の2つを意識しておけばよい。ただし、なまりはあまり強くないので公式問題集で慣れておけば十分。
3. TOEICリスニング対策|聞き取れない理由とは?
TOEICリスニング・セクションの特徴として、「音声変化」(リエゾン)と「英語の語順」に対応することが重要なことがわかった。
英語が聞き取れない理由は、上図のように全部で5つある。「音声変化」(リエゾン)は「英語の発音」に属する。したがって、TOEICのリスニングを攻略するには、「英語の発音」と「英語の語順」の2つが最も重要だということ。約束する。この2つのことを克服できれば、あなたのリスニング力は劇的に向上する。
- 英語の発音矯正:自分で発音できない音は聞き取れない。リスニング力を効率的に向上させるには発音矯正が重要。
- 英語の語順の脳回路構築:英語の文章を前から理解できないと聞き取れない。英語の語順の脳回路を作ることが重要。
なお、英語が聞き取れない5つの理由の詳細については「英語リスニング|聞き取れない理由は5つ!勉強法とおすすめ教材」を参考にして頂きたい。
3.1. 英語の発音矯正
自分で発音できない音は聞き取れない。発音できない音は、脳が「音」と認識してくれないからだ。英語には日本語にはない「音」が沢山ある。それらを聞き取れるようになるためには、脳にそれらを「音」と認識してもらう必要がある。そのためには、それらを自分でも発音できるようにすればよい。簡単だ。
英語の発音には下記の5つの要素がある。これらを全て意識しながら下記で紹介するトレーニングを行なって頂くことが理想だ。しかし、最初は難しく考えなくてよい。ただ、ネイティブそっくりに真似て発音できるように練習すればよい。
- 個別の音(母音と子音):英語の母音は24、子音は24ある。日本語に比べて圧倒的に多いので日本人には難しい。発音記号を学習すると効率的に習得できる。詳細は(「英語の発音記号|日本人が苦手な母音と子音を14のコツで矯正!」)
- 単語のアクセントの位置:英単語はアクセントの位置を間違うと理解してもらえないことが多い。単語を覚えるときはアクセントの位置も同時に覚えることが基本。詳細は(「英語のアクセント|基礎と応用8つのルールで英単語の発音矯正!」)
- リズム(強弱):英語はリズムが大切だ。強いところはゆっくりと、弱いところは速く発音される。単語のアクセントの位置を知らないと、リズムよく発音できない。詳細は(「英語はリズムが重要!4つの法則を理解して使える英語を獲得する」)
- イントネーション(抑揚):イントネーションで意味の違いも表現できる。ネイティブに理解してもらうにはリズムとイントネーション(プロソディ)が重要だと言われている。詳細は(「英語のイントネーション(抑揚)|基礎と応用15のルールで発音矯正」)
- リエゾン(音声変化):音がつながることによって、単語と単語の切れ目が分からなくなる。日本人が英語を聞き取れない一番の理由。連結・脱落・同化の3種類ある。詳細は(「英語のリエゾン(リンキング)|3つの種類・詳細ルールと克服法」)
なお、上記5つの発音の要素ついては、それぞれの詳細をカッコ内のコラムで説明しているので、是非参考にして頂きたい。
3.2. 英語の語順の脳回路構築
英語のリスニング力を向上させるためには、英語の語順の脳回路を構築することが必須となる。
英語の語順は日本語のそれとは全く違う。そのため、中学・高校では「戻り訳し」という英文解釈の方法をやらされてきた。しかし、その癖から脱却しない限り、英語のリスニング力は向上しない。
音声の英語はどんどん消えていく。従って戻り訳して理解することができない。音声の英語を理解するには、英語を英語の語順で、前から理解できるようにしなければならない。つまり、日本語の語順の脳回路で英語を理解しようとするのではなく、英語の語順の脳回路を新しく作るということだ。
英語の語順の脳回路を作ることはそれほど難しいことではない。しかし、一朝一夕にはできない。どうしてもある程度の時間が必要となる。下記で紹介するトレーニングを根気よく、繰り返し行なって頂く必要がある。
なお、英語の語順の脳回路を含めた、英語脳の作り方についての詳細は「英語脳の作り方|8つの自動化トレーニングで英語回路を構築する」を参考にして頂きたい。
4. TOEICリスニング対策|満点を取るための勉強法
リスニング力強化のトレーニングには、上図の「自動化トレーニング」をおすすめする。単語・文法・発音の3つの言語の基本要素の知識を、自分でも自動的に使えるようにするためのトレーニングだ。
下記に、TOEICのリスニング・セクションで満点を取るための「自動化トレーニング」の方法と、リスニング力強化のための一般的な「自動化トレーニング」の方法を紹介する。
満点を取るためのトレーニングは、教材として公式TOEIC問題集を使用するので、中級(TOEIC 600点程度)以上の方向けのトレーニングだ。それ以下の実力の方は、一般的なトレーニングから始めて頂きたい。
なお、22種類の「自動化トレーニング」のやり方と効果の詳細は「英語トレーニング|4技能を独学で習得する科学的自主トレ22選!」を参考にして頂きたい。
4.1. TOEICリスニング・セクションで満点を取るためのトレーニング方法
公式TOEIC問題集を使用した、リーディング・セクションのPart毎の詳細トレーニング方法を紹介する。実力試しに問題を解いたあとに実施して頂きたい。
なお、発音矯正と英語の語順の脳回路作りは、同じトレーニング方法でカバーできる。ただし、意識を変える必要がある。意識をどこに向けるかで、その効果が変わってくるのだ。発音矯正を目的とした場合は「発音」を、英語の語順の脳回路作りを目的とした場合は「内容(意味)」を意識してトレーニングを行なって頂きたい。
Part 1(写真描写問題)+ Part 2(応答問題)トレーニング
Part 1と2の対策には、「ディクトグロス」というトレーニングをおすすめする。聞き取れるようにするだけではなく、頭の中で英文を作るトレーニングにもなる。加えて「リピーティング」や「音読」などで発音矯正も同時に行う。やり方は以下の通りだ。
- ディクテーション:選択肢の音声を一文ずつ聞いて書き取る(Part 2は、最初の発言や質問も)。うまく書き取れない場合は何度か聞いてみる。スペルがわからない場合はカタカナでも可。書き取れないところは空欄にしておく。
- 自力で英文を検証・修正:聞き取れなくて空欄になっているところや、あいまいなところを、前後の単語や全体の意味から想像しながら、かつ文法を考慮しながら自力で英文を修正してみる。
- 音声で英文を確認・修正:自分で書いた英文を目で追いながら、再度音声を何度か聞いてみる。修正すべき点があったら再度修正する。これ以上修正できないと思うまで何度も繰り返す。
- スクリプトを見て確認:スクリプト(正解の英文)と自分で書いた英文とを比較し、間違ったところを確認し、修正する。全体的な意味と文法も考えながら、自分が作った英文におかしいところがなかったか確認する。単語や文の構造がわからない場合は調べる。
- 音声を聞いて確認:自分で書いた英文(修正済み)を目で追いながら、音声を聞いてみる。聞き取れなかったところは、なぜ聞き取れなかったのかを考える。単語や表現を知らなかった。単語の発音を間違って覚えていた。音がつながっていた。など。
- リピーティング(開本):一文ずつスクリプトを見ながら音声を聞き、一旦音声を止めて音読する。発音を意識して何度か音読したあと、意味を意識して更に何度か音読してみる。
- 音読:音声を聞かずに、自力で音読してみる。音声とそっくりの発音で音読できるよう繰り返す。発音に慣れてきたら、意味を意識して更に何度か音読してみる。
- ルックアップ&セイ:一文ずつ音声を聞きながらスクリプトを目で追い、その後スクリプトから目を話して(ルックアップ)暗唱(セイ)する。音声を聞かずに、黙読してから暗唱してもよい。発音と意味の両方を交互に意識して何度も繰り返すこと。
- リピーティング(閉本):一文ずつ、スクリプトを見ないで音声を聞いたあと、暗唱してみる。発音と意味の両方を交互に意識して何度も繰り返すこと。
なお、ディクテーションのやり方や効果についての詳細は「英語ディクテーション|4技能に効果的なやり方とコツを徹底解説」、音読については「英語の音読|科学的なやり方とコツ・おすすめ教材で効果を実感」を参考にして頂きたい。
Part 3 (会話問題)+ Part 4(説明文問題)トレーニング
Part 3 と4の対策には、「音読」と「シャドーイング」をメインとしたトレーニングをおすすめする。英語の語順の回路を作ることと、英語の発音を体得することが主な目的だ。そして、設問に口頭で答えるトレーンングを加えることにより、スピーキングの強化にもつなげる。やり方は以下の通りだ。
- 聞き取り:まずは何度か聞き、どれくらい聞き取れるかを確認する。聞き取れなかったところが気になり、そこで考えてしまうと全体像が全く理解できなくなる。聞き取れなかったところがあったとしても、そこは無視して、今流れている音声を理解することに集中する。
- アイシャドーイング:スクリプトを目で追いながら、音声を聞いてみる。聞き取れなかったところに意識を集中して何度か聞いてみる。
- 音読:音声は聞かずに、自力で音読してみる。聞き取れなかったところは、なぜ聞き取れなかったかを考えながら、そして単語や文の構造がわからないところは調べながら、何度か音読してみる。
- オーバーラッピング:スクリプトを目で追いながら音声を聞きつつ、自分でも声を出して追っかけていく。音声にぴったりと合わせて、遅れないようにすること。発音とスピードに慣れてきたら、意味を意識して何度か繰り返す。
- 音読:再度自力で音読する。音声とそっくりの発音とスピードで音読できるようになったら、意味を意識して何度も繰り返す。
- シャドーイング:スクリプトを見ずに、音声を聞き、1〜2語程度あとを声を出しながらついていく。発音と意味を交互に意識しながら何度も繰り返す。
- 設問に口頭で解答:スクリプトや設問の文章は見ずに、設問の音声を一つずつ聞き、口頭で答えてみる。単語だけで答えるのではなく、センテンス(文章)で答えること。難しい場合は、解答を書いてみる。
- 解答の確認と暗唱:スクリプトを見て解答を確認する。単語や文法が間違っていないかも確認する。自分で作った解答を何度も暗唱してみる。
なお、シャドーイングのやり方や効果についての詳細は「英語のシャドーイング|4種類のやり方と効果・コツを徹底解説!」を参考にして頂きたい。
4.2. リスニング力強化の一般的なトレーニング方法
公式TOEIC問題集を使用したトレーニングが難しいと感じる方向けに、リスニング強化の一般的なトレーニング方法を紹介する。下記で紹介する教材のうち、自分の実力に合った教材を使用して実践して頂きたい。なお、使用する教材は、自分の実力より多少難しめのものを使用することをおすすめする。
なお、ここでは5つのトレーニングの概要と、トレーニングの流れのみをご紹介する。やり方の詳細は「英語リスニング|聞き取れない理由は5つ!勉強法とおすすめ教材」を参考にして頂きたい。
- ディクテーション:一文ずつ音声を聞き、書き取ったあと、スクリプトで確認する。分からない単語や文法項目(文の構造)があったら調べる。
- オーバーラッピング:スクリプトを目で追いながら音声を聞き、自分でも声を出してついていく。
- リピーティング:スクリプトを目で追いながら音声を一文聞き、一旦音声を止めて、自力で音読する。
- 音読:音声を聞かずに、自力で音読する。
- シャドーイング:スクリプトを見ずに、音声を聞きながら、1〜2語程度あとを自分でも発音しながらついていく。
5. TOEICリスニング対策|おすすめ教材
大学受験のときの「赤本」のように、過去の問題に勝る教材はない。しかし、TOEICは過去の問題を公開していない。したがって、手に入る一番の教材は「公式TOEIC(L&R)問題集」となる。
しかし、初心者から中級者の皆さまにとっては、難しすぎると感じる方も多いと思う。そのような方におすすめの教材をご紹介しよう。これらを使用して、上記でご紹介した「一般的なトレーニング」を繰り返し行なって頂きたい。
5.1. 英会話ぜったい音読入門編
TOEIC470点以下の方を対象とした音読教材の定番だが、初級者のリスニング力強化にも適している。CD付属。シリーズに「標準編」と「挑戦編」がある。中学・高校の英語のテキストを使用しているため内容的に面白みがないのが欠点。
本書の詳細については「英会話ぜったい音読|音読教材としての内容・使い方・効果を検証」を参考にして頂きたい。
5.2. 仕事で使えるMyフレーズ
初・中級者用の会話教材。中学レベルの単語と文法で、仕事で使える表現を学ぶことが目的の教材。音声ファイルは無料でダウンロード可能。中級者用のリスニング力強化にも適している。
また、初・中級者の方は、単語や文法を学習する際に、それらの教材に付属している音声を活用することをおすすめする。例えば、下記の教材にはリスニング力強化につながる非常によい音声がついている。単語や文法を学習しながら発音も習得できれば非常に効率的だ。
5.3. (単語集) DataBase3000 基本英単語・熟語 5th Edition
中学と高校で習う基礎的な単語をおさらいすることが目的の単語集。CD付属。全ての見出し語に例文がついており、その音声も収録してある。ナチュラルに近いスピードなので、初・中級者用のリスニング力強化にも適している。
本書の詳細については「データベース|1700 3000 4500 5500の内容・使い方・効果を検証」を参考にして頂きたい。
5.4. (単語集) DUO select
「DUO 3.0」の中から重要単語をピックアップし掲載。例文で覚える単語集。CD別売。英検2級レベルを目標とする方向け。2つのスピードで例文の音声を収録している。中級者用のリスニング力強化にも適している。
本書の詳細については「DUO select|英単語教材としての内容・使い方・効果を徹底検証」を参考にして頂きたい。
5.5. (文法書) 中学英語をもう一度一つ一つわかりやすく
中学レベルから文法をもう一度おさらいした方向け。音声も付属。全ての例文、問題と解答の音声が収録されている。初級者用のリスニング力強化にも適している。
本書の詳細については「中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく|内容・使い方・効果を検証」を参考にして頂きたい。
5.6. (文法書) 総合英語エバーグリーン Evergreen
定番文法書だった「総合英語フォレスト」の内容をほぼそのままに、出版社を変更して発売されたもの。中学レベルを卒業した方におすすめ。全ての例文の音声も付属しているので、中級者用のリスニング力強化にも適している。
6. TOEICリスニング対策|Time Management(時間管理)の方法
TOEICで高得点を取るには「Time Management」(時間管理)が重要となる。リスニング・セクションでは、あまり考える時間を与えられずに、どんどん進んでいく。そのスピードについていけなくなるとあせってくる。あせってくると聞き取れる英語も聞き取れなくなる。
ここでは、「Time Management」の観点から、Part 1〜4の解き方のコツを見ていきたい。
なお、それぞれのPartの例題は「TOEIC試験とは|初心者が知るべき基礎知識!内容・コツ・注意点」に掲載しているので参考にして頂きたい。
6.1. Part 1(写真描写問題)の時間管理方法
Part 1(写真描写問題)は、問題用紙に載っている1枚の写真についての音声が4つ流れるので、写真を正しく説明しているものを選ぶ問題。全6問。
4つの選択肢の音声が流れる前に、写真をじっくり見ておく余裕を持てるかどうか、そして選択肢の音声を、いかに集中して聞くことができるかが鍵となる。
Part 1の時間進行
- 冒頭にPart 1の説明(Directions)が約1分32秒間流れる。
- 問題毎に、最初に「Number <1>. Look at the picture marked number <1> in your test book.」という音声が約5秒間流れる。
- 4つの選択肢の音声は、選択肢毎の間隔(切れ目)がほとんどない。
- 選択肢の英文は、長くても10単語程度、3秒程度と短い。短いものは4単語で1秒強。
- 最後の選択肢 (D) が読み上げられたあと、次の問題が始まるまで約5秒間。
- ページが変わる際に「Go on to the next page.」という音声とともに約7秒間余分に時間が与えられる。
Part 1の時間管理対策
- 冒頭の「Directions」の音声が流れている約1分32秒間で、全6問の写真をじっくり見ておくこと。
- 各問題の最後の選択肢 (D) が読み上げられたあと、次の問題が始まるまで約5秒間ある。加えて、各問題の冒頭の説明が約5秒間流れる。その合計10秒間の間にマークシートを塗りつぶし、次の問題の写真を見ておく必要がある。
- 次の問題の写真を見る時間として5秒は確保したい。心に余裕を保ち、次の音声が始まるのを集中して待つには必要な時間だ。マークシートを塗りつぶすのに2秒かかるとすると、最後の選択肢 (D) が読み上げられたあと、3秒以内で解答を決定する必要がある。
- 聞き取れなかったことを、あとで考えても理解できるはずがない。考える時間が無駄なだけ。気持ちを切り替えて、次の問題の写真を見ながら心を落ち着かせて集中した方がよい。したがって、解答は必ず3秒以内で決定して頂きたい。
6.2. Part 2(応答問題)
Part 2は、最初に発言または質問の音声が流れ、続けてそれに対する3つの応答の音声が流れる。最初の音声に対する応答として、最も適切なものを3つの中から選ぶ問題。全25問。
最初の発言または質問の音声を、いかに集中して聞くことができるかが鍵となる。
Part 2の時間進行
- 冒頭にPart 2の説明(Directions)が約27秒間流れる。
- 問題毎に、最初に「Number <7>」という音声が約2秒間流れる。
- 最初に流れる発言もしくは質問は、長くて15単語程度、3秒程度と短い。短いものは6単語で2秒弱。
- 発言もしくは質問が流れてから、選択肢の (A) が始まるまで1秒。3つの選択肢の音声は、選択肢毎の間隔も約1秒。
- 最後の選択肢 (C) が読み上げられたあと、次の問題が始まるまで約5秒間。
Part 2の時間管理対策
- 冒頭の「Directions」の音声が流れている約27秒間で、心を落ち着かせて再度集中する。Part 1の出来が悪かったとしても、気持ちを切り替えること。
- 各問題の最後の選択肢 (C) が読み上げられたあと、次の問題が始まるまで約5秒間ある。加えて、各問題の冒頭の説明が約2秒間流れる。その合計7秒間の間にマークシートを塗りつぶし、次の問題に備えて集中しておく必要がある。
- 次の問題に備えて集中するのに最低でも2秒は欲しい。マークシートを塗りつぶすのに2秒かかるとすると、最後の選択肢 (C) が読み上げられたあと、3秒以内で解答を決定する必要がある。Part 1と同じペースで良いことになる。
6.3. Part 3(会話問題)
Part 3は、2人もしくは3人による会話の音声を聞き、その後に読み上げられる質問(問題)(問題用紙にも記載)の答えを4つの選択肢から選ぶ問題。選択肢は読み上げられない。1つの会話に3つの問題。全13の会話で全39問。
会話の音声が流れる前に問題と選択肢を読み、会話の内容を想像する余裕が持てるかどうか、そして会話の音声をいかに集中して聞くことができるかどうか、更に、選択肢の短い英文を素早く読んで理解できるかどうかが鍵となる。
Part 3の時間進行
- 冒頭にPart 3の説明(Directions)が約30秒間流れる。
- 会話毎に、最初に「Question <32> through <34> refer to the following conversation.」という音声が約5秒間流れる。
- 会話の長さは30秒〜1分弱。
- 会話の音声が終了してから、問題の音声が始まるまで約2秒間。
- 問題毎に、最初に「Number <7>」という音声が約2秒間流れる。
- 問題の音声が終了してから、次の問題の音声が始まるまで約8秒間。
- ページが変わる際に「Go on to the next page.」という音声とともに約7秒間余分に時間が与えられる。
Part 3の時間管理対策
- 冒頭の「Directions」の音声が流れている約30秒間で、最初の会話の問題と選択肢を読み会話の内容を想像する。2つ目以降の会話の問題や選択肢を読んでも結局忘れてしまうので、最初の会話の1つに集中することをおすすめする。
- 2つ目以降の会話については、会話毎の冒頭の「Question <32> through <34> refer to the following conversation.」という音声の約5秒間で問題や選択肢をサッと見る程度。
- 会話が終了してから問題が読み上げが始まるまで2秒しかない。何もせずただ音声が始まるのを集中して待つ。音声が始まったら、必ず問題文を目で追いながら聞くこと。理解度が高まる。
- 問題が読み上げられたあと、次の問題(もしくは会話)が始まるまでの8秒間で4つの選択肢を読み、解答を見つけ、マークシートを塗りつぶさなければならない。マークシートを塗りつぶすのに2秒かかるとすると、1つの選択肢を平均1.5秒で読んで理解し、即座に解答を決定する必要がある。
- 問題は問題用紙に掲載されているので、問題の音声が始まるまでの集中するための時間は必要ないだろう。しかし、必ず問題文を目で追いながら聞くことで理解を高めること。
- 選択肢の文章は短いが、2度読む時間はない。短い文章を1回読んで理解できるようにトレーニングしておく必要がある。
6.4. Part 4(説明文問題)
Part 4は、1人によるアナウンスやナレーションなどの説明文の音声を聴き、その後に読み上げられる質問(問題)(問題用紙にも記載)の答えを4つの選択肢から選ぶ問題。選択肢は読み上げられない。1つの説明文に3つの問題。全10の説明文で全30問。
説明文の音声が流れる前に問題や選択肢を読み、説明文の内容を想像する余裕が持てるかどうか、そして説明文の音声をいかに集中して聞くことができるかどうか、更に、選択肢の短い英文を素早く読んで理解できるかどうかが鍵となる。
Part 4の時間進行
Part 4の時間進行はPart 3と全く同じ。
Part 4の時間管理対策
Part 4の時間管理対策はPart 3と全く同じ。
7. TOEICリスニング対策|まとめ
- 「TOEIC難民」とは、TOEICで高得点を獲得しても英語を使えない人のこと。「TOEIC難民」にならない、そして効率的にリスニングを強化していける勉強法を紹介する。
- TOEICのリスニング・セクションで満点を取ることを目標とする場合、まずは問題の特徴を理解しなければならない。特徴が理解できれば、対策、解き方のコツ、そして勉強方法が見えてくる。
- TOEICのリスニングを攻略するには、「英語の発音」と「英語の語順」の2つが最も重要。この2つのことを克服できればリスニング・パートの点数は劇的に上がる。
- 英語の発音:自分で発音できない音は聞き取れない。リスニング力を効率的に向上させるには発音矯正が重要。
- 英語の語順:英語の文章を前から理解できないと聞き取れない。英語の語順の脳回路を作ることが重要。
- リスニング力強化のトレーニングには、22のトレーニングを含む「自動化トレーニング」が基本となる。上記の2つのことを同時に強化できる。
- 公式TOEIC問題集を使ってトレーニングすれば一番効率的。しかしそこまでの実力がない場合は、上記で紹介した教材の中で、自分のレベルに合ったものを見つけて頂きたい。
- TOEICのリスニング・セクションで高得点を取るには「Time Management」(時間管理)も重要。テストの流れの中で、限られた時間をいかに有効に使うかが勝敗の分け目にもなる。
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