TOEIC(トイック)(L&R)は Part 1〜7 の全てで文法対策が必要だ。
TOEICの文法問題は Part 5と6で出題される。したがって、TOEICの文法対策は Part 5 & 6 対策だと思っている方が多い。しかし、それは間違いである。
文法は、単語の並べ方(語順)を決めるルールだ。英語は語順が重要な言語なので、そのルールを知らなければ、聞いたり読んだりしたことを正確に理解できない。全Partで文法対策をしなければ、絶対にTOEICで高得点は取れないということだ。
このコラムは、TOEIC初心者の方が満点を目指すための文法勉強法を、おすすめ教材とともにわかりやすくご紹介する。
なお、ここではTOEIC(Listening & Reading)を「TOEIC」と呼ぶことにする。
目次
1. TOEIC文法対策の前に|英語は語順が重要な言語
英語は語順が重要な言語だといわれている。なぜなら英語は、単語を覚えても、その並べ方を知らなければ、文章の意味を正確に理解できないからだ。
しかしながら、英語の語順の重要性を理解していない日本人が多い。ひとつの理由は、日本語があまり語順にこだわらない言語だからである。
上の例を見て欲しい。日本語は語順を変えても、文法的にも、意味的にも全く問題がない。一方で、英語は語順がきっちりと決まっており、単語を文法ルール通りに並べないと意図した意味で伝わらない。そして、その文法ルールを知らないと正確な意味を理解できないのだ。
2. TOEICの文法|リスニングとリーディングの文法とは
次に、TOEICのリスニングとリーディングの全てのPartで文法対策が必要な理由を説明する。
なお、TOEICの問題の内容や問題数、時間などの基本については「TOEIC試験とは|初心者が知るべき基礎知識!内容・コツ・注意点」を参考にして頂きたい。
2.1. TOEICリスニングでも文法は重要!
TOEICのリスニングで高得点を取るには、単語の並べ方(語順)という文法ルールを理解した上で、英文を語順通りに前から理解できるようにしなければならない。
リスニングでは、聞き取れた単語の意味から全体の意味を推測している方も多いと思う。しかし、そのようなことをしている限り高得点は望めない。単語の意味に加えて、並べ方も理解しなければならない。並べ方を理解できていれば、聞き取れない単語があったとしても、その単語を推測しやすくなり、全体の理解度も高くなるのだ。
しかしながら、リスニングでは聞いた英語はどんどん消えていくので、単語の並びをじっくりと確認する時間はない。したがって、「聞こえる順番に、英文を前から理解する」必要あるのだ。
また、聞いた英語を瞬時に理解するには、「前から理解できるようにする」だけではなく、「英語を英語のまま理解できるようにする」必要がある。そのことについては「英語脳の作り方|8つの自動化トレーニングで英語回路を構築する」を参考にして頂きたい。
リスニングは「音」の攻略も必要だ。詳細は「TOEICリスニング対策|満点を取る勉強法・コツとおすすめ教材」を参考にして頂きたい。
2.2. TOEICリーディングPart 7でも文法は重要!
文法問題が出題される Part 5と6だけではなく、Part 7でも文法対策は必須だ。TOEICのリーディングで高得点を取るには、リスニングと同じように、単語の並べ方(語順)という文法ルールを理解した上で、英文を語順通りに前から理解できるようにしなければならない。
TOEICのリーディングでは、とにかく時間が足りないので、英文を正確に素早く理解する能力が要求される。英文を正確に理解するには、単語の並べ方を理解しなければならない。そして、素早く理解するには、1回読んだだけで理解する必要がある。繰り返し読む時間はない。そのためには、「書いてある順番に、英文を前から理解する」必要あるのだ。
また、読んだ英語を瞬時に理解するには、リスニングのときと同じように、「英語を英語のまま理解できるようにする」必要がある。
リーディングは「文字」の攻略も必要だ。詳細は「TOEICリーディングの時間配分|満点を取る勉強法・対策・コツ」を参考にして頂きたい。
2.3. TOEICリーディングPart 5と6の文法問題は「品詞」を攻略!
Part 5とPart 6では、文法力を問う穴埋め問題(「文法穴埋め問題」)の対策が必要となる。また、Part 5と6でも、Part 7と同じように、英文を正確に素早く理解する能力が要求される。したがって、単語の並べ方を理解し、かつ英文を語順通りに理解できるようにしなければならないのは同じだ。
Part 5とPart6では、問題のタイプが大きく3つに分かれる。1つ目は語彙力を問う問題(語彙問題)。2つ目は文法力を問う問題(文法問題)。3つ目は文法力と語彙力の両方を問う問題(複合問題)だ。
語彙問題は、単純に単語の意味を知っていれば答えられる問題である。文法知識は必要ない。(したがってこのコラムでは触れない。)問題数の割合は、全30問のうち、文法問題と語彙問題がおおよそ半分ずつだ(複合問題は両方に含める)。
文法問題の内容を見ると、そのほとんどが「品詞」を問う問題である。「品詞を制するものは文法問題を制する」といっていい。品詞とは「名詞」「形容詞」「副詞」「動詞」といった単語の種類のことだ。品詞がわかれば、単語の意味がわからなくても正答を選べる問題も少なくない。
例えば、上記の例題は「副詞」を選ばせる問題だ。英文を読んだときに、空欄には副詞がくるとわからなければ正答(B)は選べない。逆に、副詞がくるとわかれば「steadily」の意味があいまいでも(B)を選べる。ちなみに、(A)は形容詞、(C)は形容詞の最上級形、(D)は動詞の過去分詞系であり、副詞は(B)のみ。
Part 6では、Part 5に比べて問題文が長くなるが、文法問題の形式は全く同じだ。
しかしながら、空欄にどの品詞がくるのか?を判断することはそう簡単なことではない。英文の構造を正しく理解しないと正しい品詞を選べない。英文の構造を正しく理解するためには、英文法の基礎を理解しなければならない。そもそも品詞とは何かを理解する必要があるのは言うまでもない。
なお、TOEICの語彙(単語)についての詳細は、「TOEIC英単語の勉強法|初心者おすすめ単語帳・覚え方・注意点」を参考にして頂きたい。
3. TOEICの文法|リスニングとリーディングの文法対策
TOEICに必要な文法の知識をまとめると、まずは「基礎力をつけること」、そして「英語脳を作ること」、最後に「文法穴埋め問題を攻略すること」の3つとなる。
基本的には英語は「勉強」ではない。繰り返しが必要な「学習」だ。しかしながら、英語を習得する上で、唯一「勉強」と言えるのは「文法」である。文法は、まずは基礎(土台)をしっかりと学び、その土台の上に知識を積み上げていく必要がある。土台がしっかりしていないと、知識が積み上がっていかない。つまり、途中で英語力が伸びなくなってしまうのだ。まずは、単語の並べ方(語順)という文法ルールの基礎をしっかりと学習して頂きたい。
文法の基礎を学びつつ、同時並行的に、「英文を語順通りに、前から理解できる」ようにしていく必要もある。そのためには「英語脳」を作る必要がある。日本語の語順の回路で英語を使おうとするのではなく、日本語の語順の回路とは別に、英語の語順の回路を作るということだ。英語脳(回路)の存在は科学的にも証明されている。
Part 5と6の文法力を問う穴埋め問題を効率的に攻略するには、ある程度の対策も必要となる。あまりテクニック的なことに時間を費やすことはおすすめしない。そのような時間があるならば、英語力そのものを向上することに集中した方がよい。しかし、知っておいて損はない「コツ」はある。
4. TOEICの文法|Part 5 & 6 文法問題の解き方のコツ
4.1. Part 5|文法問題の解き方のコツ
Part 5の例題のように、選択肢に同じ単語の違う形が並んでいたら品詞を問う文法問題だ。その場合は文の構造を意識しながら問題文を読むと解きやすくなる。
この例題では、選択肢には「steady」という単語の違う形が並んでいるので文法問題だ。そして問題文を、文の構造を意識しながら ”since” まで読んだところで、空欄には副詞が入るとわかる。全部読む必要はない。
もし、”since” まで読んでも、なぜ副詞が入るのかが理解できない場合、もしくは「副詞」とは何かが分からない場合は、「コツ」を考える前に文法の基礎を固めた方がいい。
4.2. Part 6|文法問題の解き方のコツ
Part 6の場合は、意味と文の構造を意識しつつ、最初から丁寧に読みながら問題を順番に解いていく方法が最も効率的である。そして長文1つに問題が4つあるので、前もって問題の種類を把握しておくことは現実的ではない。長文を読み進めていき、空欄が出てきたら選択肢を見て、文法問題か語彙問題かを確認することになる。
例えば、上のPart 6の例題では、最初から読み進めていき、最初の空欄の前に冠詞の「a」があるので次には名詞がくることがわかる。選択肢を見ると全部名詞なので品詞を問う問題ではなく、語彙問題であるとわかる。単語の意味から (D) を選ぶことになる。
次の空欄まで読み進めていくと、空欄の前にカンマ(,)がある。選択肢を見ると、 (A) の前置詞、(B) の接続詞もしくは副詞、(C) の疑問詞もしくは関係副詞、(D) の前置詞もしくは副詞、が並んでいる。ここまで読んだだけではまだ選べないので、空欄のあとを読み続ける。”sports”まで読んだところで、空欄以降の節は、何も欠落していない完璧な文(節)だということがわかる。とすると、空欄に入るのは接続詞が第一候補だ。そこで、唯一の接続詞である「yet」を選ばせようとしているのだが、騙されてはいけない。
この問題は文法と語彙の両方の問う複合問題だ。文法的には「yet」は入るが、意味的にはおかしい。そこで他の選択肢を見ると、(A) (D) は意味的にも文法的にも入らない。残りは (C) の関係副詞しかない。
最初から慎重に読み進めないと、何度も読み返すことになり時間がかかってしまう。多少遅くてもよいので、文の構造と意味を十分に理解しながら読んでいった方が結果的に速く解くことができる。
なお、リーディング・セクションの時間配分を含めた全般的は対策については「TOEICリーディングの時間配分|満点を取る勉強法・対策・コツ」、TOEICのリスニング・セクションの全般的な対策やコツについては「TOEICリスニング対策|満点を取る勉強法・コツとおすすめ教材」を参考にして頂きたい。
5. TOEICの文法|おすすめ教材と勉強法
初心者の方が、TOEIC満点を目標にした場合の最も効率的な文法の学習方法を、おすすめの教材とともに、ステップ・バイ・ステップでご説明する。下記の順番で教材をグレードアップしながら、着実に知識を積み上げていこう!まずは中学で習う文法のおさらいからだ。
5.1. 『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』
本書の概要
中学3年間で習う英文法を一から丁寧にわかりやすくまとめた良書だ。練習問題も多く、CDも付属しているので定着させて自分でも使えるようにできる。
本書は超入門書だが、決してあなどってはいけない。本書に書かれていることがTOEICを含めた全ての土台となる。また、本書に書かれていることは、理解できるだけではダメだ。自分で自由に使えるようにする必要がある。
「TOEICは自分で使えるようにする必要なないのでは?」と思ったあなたは、TOEIC難民の予備軍の一人だ。「TOEIC難民」とは、TOEICで高得点をとっても話せないので仕事で全く使えない人のことである。そうならないためにも、自分で使うことを意識して学習してほしい。実はそのように学習した方が効率的だということが脳科学研究から指摘されている。
本書の使い方
文法は知識を積み上げていく必要がある。したがって、最初から順番に学習していくことが基本だ。しかし本書の場合、学習方法は学習レベルによって変えてもいい。
(1) 一歩一歩着実に学習したい方
- 見開き2ページで1 Lessonになっているので、まずは左ページの解説を読む。(英文はなるべく音読すること!)
- 右ページの「基本練習」で、音読しながら問題を解く。(間違ったところは必ず間違った理由を考えること!また、発音があいまいなところは付属のCDを聞くこと!)
- 「復習テスト」を実施。ここでも必ず音読しながら問題を解くこと!
- 「復習テスト」までの各Lessonの「基本練習」の例文を使い、CDを活用しながら「自動化トレーニング」を行う。
なお、「自動化トレーニング」のやり方と効果については「英文法勉強法|基礎から効率的に覚える科学的トレーニング8選!」を参考にして頂きたい。
(2) 知識の穴を確認いたい方
- まずは右ページの「基本練習」を音読しながら解く。(発音があいまいなところは付属のCDを聞くこと!)
- 間違ったところがあれば、左ページの解説を読み、なぜ間違ったのかを確認する。(英文はなるべく音読すること!)間違いがなければ解説を読む必要はない。
- 「復習テスト」を実施。ここでも必ず音読しながら問題を解くこと!
- 「復習テスト」までの各Lessonの「基本練習」の例文を使い、CDを活用しながら「自動化トレーニング」を行う。
なお、『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』の詳細は「中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく|内容・使い方・効果を検証」を参考にして頂きたい。
5.2. 『Essential Grammar in Use 4th Edition』
eBook付 Raymond Murphy (著)[Cambridge University Press]¥4,000程度
本書の概要
Cambridgeが出版するベストセラー文法書「English Grammar in Use」の初心者用がこの「Essential Grammar in Use」だ。すべて英語で書かれているので難しそうに見えるが、中学で習う文法と単語をおさらいした方であれば十分に本書を活用できる。
この初心者用は、「be動詞とは」という初歩的なところから学ぶための文法書だ。加えて、上記の「中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。」に説明されていない、「英語を使う際に必要となる文法」の基礎を解説している。
本書をおすすめする理由はもう一つある。英語に慣れることだ。第二言語習得研究では、多くの理解できる英語をインプット(読む・聞く)することが英語学習の基本だと言われている。特にこのレベルの段階で、本書のような簡単な英語に多く触れることは、英語脳の土台を作るという意味で非常に効果的だ。
本書の使い方
本書の場合は、多くの英語に触れて頂きたいという意味でも、知識を積み上げて頂きたいという意味でも、最初から順番に学習していくことをおすすめする。
- 見開き2ページで1 Unitになっているので、まずは左ページの解説を音読しながら理解する。
- 右ページの「Exercises」を音読しながら解く。(間違ったところは必ず間違った理由を考えること!また、発音があいまいなところはeBookで確認すること!)
- 付属しているeBookの音声を活用しながら、解説とExercisesを使って「自動化トレーニング」を行う。
なお、本書は115 Unitを上記の方法で1回最後まで終了したら、下記の「English Grammar in Use」に移ってよい。復習する必要はない。なぜなら、「English Grammar in Use」で復習することになるからだ。
5.3. 『English Grammar in Use 5th Edition』
eBook付 Raymond Murphy (著)[Cambridge University Press]¥4,000程度
本書の概要
上記の「Essential Grammar in Use」の中級者用で、「Grammar in Use」シリーズのオリジナル版がこの「English Grammar in Use」だ。英語の非ネイティブ・スピーカーが英語を使うために必要な文法を網羅しているといっていい。「かゆいところに手が届く」文法書である。
中級者用だが、われわれ日本人の英語非ネイティブであれば、この1冊を仕上げたら英文法の学習は終了したといっていい。上級者にとっても、英語を使う上で非常に役にたつ文法が多く取り上げられている。本書を仕上げた後は、多くの英文に触れることによって文法知識を積み上げていって頂きたい。本書は、その際の辞書として活用できる。
また、「Essential Grammar in Use」と「English Grammar in Use」の2冊を終了すれば、かなりの量の英語に触れたことになる。そのことが自分の血となり肉となっていることが実感できるはずだ。
本書の使い方
本書の使い方は「Essential Grammar in Use」と同じである。「Essential Grammar in Use」の「本書の使い方」を参照して頂きたい。
なお、本書は1回通して学習しただけでは、知識の定着の観点から、十分とはいえないだろう。最低でも2回通して学習することをおすすめする。
2回目の学習は、自分が弱いと感じるところに集中するやり方でも構わない。自分が弱いところを確認するには、巻末の「Study Guide」の問題を活用することをおすすめする。間違った問題のところに記載されているUnitを復習すればよい。
なお、『Grammar in Use』シリーズの詳細は「Grammar in Use|種類と選び方・内容・使い方・効果を徹底検証」を参考にして頂きたい。
5.4. 『公式TOEIC Listening & Reading問題集』
CD付 ETS (著)[国際ビジネスコミュニケーション協会]¥3,000+税
本書の概要
日本でTOEICの運営を担当している「国際ビジネスコミュニケーション協会」が発行している「公式」問題集だ。TOEIC(L&R)が現在の形式になってから全部で6冊発行されている(2020年4月現在)。実際と同じテスト形式で、1冊に2回分の問題を掲載している。
TOEIC対策の教材としては、この「公式」問題集に勝るものはないだろう。1冊に2回分、6冊発行されているので、全部でテスト12回分の問題を解くことができる。上記で紹介した文法書を終了した方であれば、TOEICの問題に慣れるには十分な量だ。
TOEICの問題には「特殊性」もしくは「かたより」がある。これはTOEICに限ったことではない。「英検」でも「IELTS」でも「TOEFL」でも、それぞれ問題の傾向がある。その「傾向」に慣れるためにおすすめするのが本書だ。TOEICは必要ないという方には特におすすめはしない。
本書の使い方
リスニング・セクションとリーディング・セクションで、単語の並べ方(語順)という文法ルールを理解した上で、英文を語順通りに前から理解できるようにする勉強方法(トレーニング方法)を紹介する。
本番と同じように、1回通して問題を解いたあとに下記トレーニングを行なって頂きたい。なお、答え合わせのあと、間違った理由などの検証は行わないこと。
(1) リスニング・セクション
Part 3および4の問題を使用して下記のトレーニングを行う。
- リスニング:問題を通して聞く。理解度が低い場合は何度か聞いてみる。
- アイシャドーイング:音声を聞きながら、英文(スクリプト)を目で追う。
- 音読:音声を止めて、自力で音読しながら、わからない単語や文の構造を確認する。
- リピーティング(開本):音声を一文聞いたところで一旦止め、音声をそっくりまねて音読する。
- オーバーラッピング:音声を聞きながら、スクリプトを目で追いながら、音声にぴったりと合わせて音読しながらついていく。発音があいまいな場合はリップシンク(口パク)を試してみる。
- ルックアップ&セイ:一文ずつ、音声を聞きながらスクリプトを目で追い、一旦音声を止めて暗唱する。
- リピーティング(閉本):スクリプトを見ないで音声を一文ずつ聞き、一旦音声を止めて暗唱する。
- シャドーイング:スクリプトを見ないで音声を聞き、1〜2語あとを発音しながら、全文通して追いかけていく。
- スピーキング:選択肢の設問を読み、口頭で解答してみる。単語で答えるのではなく、センテンス(文)で解答すること。
- サマライジング:問題文を自分の言葉で要約してみる。もう一度音声を全文通して聞きながら、必要に応じてメモを取りながら、3文程度でまとめてみる。
なお、1〜8のトレーニングを行う際は必ず、「内容(意味)」と「発音」の2つを交互に意識して数回行うこと。
また、9,10のスピーキングのトレーニングを行うことによって英語脳の土台作りが強化される。効率的に「単語の並べ方(語順)という文法ルールを理解した上で、英文を語順通りに前から理解できる」ようになるためには必須のトレーニングだ。
(2) リーディング・セクション
Part 5および6の問題を使用して下記の確認・トレーニングを行う。
- 問題の確認:文法問題について、正解だった問題は、正解を選んだ理由が正しかったかどうか、間違った問題はなぜ間違ったのかを、完全に理解するまで徹底的に調べる。ここでは語彙問題は無視する。
- 音読:音読しながら意味が頭に入ってくるまで繰り返し音読する。
- リピーティング(開本):音声を聞き、一旦音声を止め、音声そっくりに音読する。
- リピーティング(閉本):スクリプトを見ないで音声を聞き、一旦音声を止めて暗唱する。
Part 6および7の問題を使用してリスニング・セクションで紹介したトレーニングの1〜10を行う。音声はダウンロードできる(問題集5以降)。
なお、ここで紹介したトレーニング方法は、上図の22の「自動化トレーニング」から、TOEIC文法対策に適したものを選定した。それぞれのトレーニング方法の詳細なやり方や効果は「英語トレーニング|4技能を独学で習得する科学的自主トレ22選!」を参考にして頂きたい。
6. TOEICの文法|まとめ
- 英語は、単語を覚えても、その並べ方を知らなければ、文章の意味を正確に理解できない。
- TOEICのリスニングとリーディングで高得点を取るには、単語の並べ方という文法ルールを理解した上で、英文を語順通りに前から理解できるようにしなければならない。
- Par 5と6の文法穴埋め問題は、そのほとんどが「品詞」を問う問題。品詞を制するものは文法問題を制する。
- TOEICの文法対策は、「基礎力をつけること」「英語脳を作ること」「文法穴埋め問題を攻略すること」の3つ。
- Part 5と6の文法穴埋め問題は解き方の「コツ」がある。しかし、あまりテクニック的なことに時間を費やすことはおすすめしない。
- 初心者の方がTOEICで満点を取るためには、ご紹介した4冊の文法書(参考書)を順番に仕上げることをおすすめする。それらを仕上げれば文法学習は卒業だ。
『英語独学完全マニュアル』
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無料eBookの主な内容
- 単語・文法・発音の効率的な基礎力強化方法
- インプット(読む・聞く)能力向上のための英語脳作りトレーニング法
- アウトプット(話す・書く)能力向上のためのリハーサル・トレーニング法
- 学習計画の立て方と効率性を上げるための学習習慣
そろそろ本気で英語を習得したいとお考えの方におすすめです。また、「英会話スクールに通っているけど思うように上達しない…」「TOEICで高得点を取ったけど話せない…」などでお悩みの皆さまも是非ご一読ください。