英語の「分詞構文」を説明する。難しそうに感じるかもしれないが、実は単純だ。英語のネイティブ・スピーカーであれば誰でも使いこなせているのだから当たり前のこと。
実は、分詞構文は「話しことば」ではあまり使用されない。【基本】を理解できていれば十分対応可能だ。一方で、少しややこしい【発展】は通常話しことばでは使われない。それらは文章を読んでいるときに出てきたら理解できる程度でいい。
いずれにしろ、【基本】だろうが【発展】だろうが、分詞構文を使わなくても他の簡単な言い方で表現できる。したがって自分で使えるようになる必要は全くない。気楽に読み進めていただければ幸いだ。
目次
1. 【基本】「分詞構文」とは?
「分詞構文」とは、2つのこと(状態・動作)をまとめて表現するときに使われる「分詞」を使った構文だ。次の例文をみてほしい。
① He is sitting on a bench reading a book.
(彼は本を読みながらベンチに座っている。)
「彼がベンチに座っている」と「本を読んでいる」の2つのことを1文で表現している。
② Surrounded by his students, the teacher is singing a song.
(生徒に囲まれて、先生は歌を歌っている。)
「先生が生徒に囲まれている」と「先生が歌を歌っている」の2つのことを1文で表現している。
下線の部分が「分詞」だ。分詞は①の「現在分詞」と②の「過去分詞」の2種類ある。
現在分詞:
動詞の原形に「-ing」をつけた形。例えば「take」であれば「taking」。分詞の主語(上記①では「He」)が「〜している」(上記①では「本を読んでいる」)場合は現在分詞。
過去分詞:
動詞の過去分詞の形。例えば「take」であれば「taken」。分詞の主語(上記②では「the teacher」)が「〜されている」(上記②では「囲まれている」)場合は過去分詞。
①の例文は「現在分詞」の分詞構文。②の例文は「過去分詞」の分詞構文だ。詳しくみていこう。
2. 【基本】「分詞構文」で表現できることは?
分詞構文は、「2つのことが同時に起こっている状況」と「あることが起こっている間に、もう1つのことが起こる状況」を表すことができる。
2.1. 2つのことが同時に起こっている状況
現在分詞の場合
① He is sitting on a bench reading a book.
(彼は本を読みながらベンチに座っている。)
「彼はベンチに座っている」と「彼が本を読んでいる」の2つのことが同時に起こっている。
上記①は、次の②に言い換えることができる。
② He is sitting on a bench and he is reading a book.
(彼はベンチに座っており、そして本を読んでいる。)
つまり①は、②の下線の部分「and he is」が省略されていると考えればよい。
なお、この分詞構文は、主語が「〜している」ことを表しているので、「-ing」形の「現在分詞」が使用される。
過去分詞の場合
③ Surrounded by his students, the teacher is singing a song.
(生徒に囲まれて、先生は歌を歌っている。)
「先生が生徒に囲まれている」と「先生が歌を歌っている」の2つのことが同時に起こっている。
上記③は、次の④に言い換えることができる。
④ The teacher is surrounded by his students, and the teacher is singing a song.
(先生は生徒に囲まれており、そして歌を歌っている。)
つまり③は、④の下線の部分「The teacher is」と「and」が省略されていると考えればよい。
なお、分詞を含んだ句(③では「Surrounded by his students」)を文の最初に置くときは、その句の最後にカンマ(,)を入れる。
また、この分詞構文は、主語が「〜されている」(受け身)ことを表しているので、「過去分詞」が使用される。
2.2. あることが起こっている間に、もう1つのことが起こる状況
現在分詞の場合 – 1
⑤ He broke his leg playing soccer.
(彼はサッカーをしていたときに足を折った。)
「彼がサッカーをしていた」間に、「彼が足を折った」というもう1つのことが起こっている。
上記⑤は次の⑥に言い換えることができる。
⑥ He broke his leg while he was playing soccer.
(彼はサッカーをしているとき(間)に足を折った。)
つまり⑤は、⑥の下線の部分「while he was」が省略されていると考えればよい。
また⑤は、次の⑦のように「while」だけを残す場合もある。
⑦ He broke his leg while playing soccer.
現在分詞の場合 – 2
⑧ He stumbled crossing the road.
(彼は道を渡っている時につまずいた。)
「彼が道を渡っていた」間に、「彼がつまずいた」というもう1つのことが起こっている。
上記⑧は、次の⑨に言い換えることができる。
⑨ He stumbled when he was crossing the road.
(彼は道を渡っている時につまずいた。)
つまり⑧は、⑨の下線の部分「when he was」が省略されていると考えればよい。
また⑧は、次の⑩のように「when」だけを残す場合もある。
⑩ He stumbled when crossing the road.
なお、接続詞について、⑦では「while」(〜の間)、⑩では「when」(〜の時)を使っているが、2つの意味に大きな違いはない。
3. 【基本】「分詞構文」にするときの条件は?
主語や接続詞を省略して分詞構文にするには、2つの節(主語+動詞の文)の主語が同じでなければならない。つまり、下記①は2つの節の主語がおなじなので分詞構文にできるが、②は主語が異なるので分詞構文にはできない。
① Tom is sitting on a bench and he is reading a book.
(トムはベンチに座っており、そして本を読んでいる。)
→ 主語が同じなので分詞構文にできる:
Tom is sitting on a bench reading a book.
② Tom is sitting on a bench and Kate is reading a book.
(トムはベンチに座っており、そしてケイトは本を読んでいる。)
→ 主語が異なるので分詞構文にはできない。
4. 【基本】「分詞構文」にする理由は?
上記の例をみればわかるとおり、分詞構文を使うと、文章を短く、そして簡単にすることができる。それが分詞構文を使う一番の理由だ。
ただし、我々日本人は必ずしもこの分詞構文を使う必要はない。なぜなら、分詞構文にする前の文章(主語と接続詞を省略していない文章)を作ることができれば、自分の言いたいことは正確に伝えられるからだ。わざわざ苦労して分詞構文しなくてもよい。分詞構文の英文を言われたり読んだりしたときに理解できるようにはしておけば十分だ。
5. 【基本】フレーズで覚えておきたい「分詞構文」とは?
分詞構文を使った、よく使用されるフレーズを紹介する。自分でも使えるように、このまま覚えておきたい。
なお、下記のような慣用的に使われる表現では、分詞構文ではあるが、必ずしも主語を一致させなくてもよい。
Speaking of movies, what kind of movies do you like?
(映画と言えば、どのような映画が好きですか?)
あえて、分詞構文にする前の文に戻すと下記のようになる。
(When I speak of movies, what kind of movies do you like?)
Judging from the reviews, I think I should read this book.
(レビューから判断すると、私はこの本を読むべきだと思う。)
あえて、分詞構文にする前の文に戻すと下記のようになる。
(When I judge from the reviews, I think I should read this book.)
Considering her age, I don’t think he can climb the mountain.
(彼女の年齢を考えると、私は彼女がその山に登れるとは思わない。)
あえて、分詞構文にする前の文に戻すと下記のようになる。
(When I consider her age, I don’t think he can climb the mountain.)
Taking everything into consideration, do you think you should buy a house?
(全てのことを考慮に入れた場合、家を購入すべきだと思いますか?)
あえて、分詞構文にする前の文に戻すと下記のようになる。
(When you take everything into consideration, do you think you should buy a house?)
Frankly speaking, I don’t like him.
(率直に言って、私は彼が好きではない。)
あえて、分詞構文にする前の文に戻すと下記のようになる。
(When I speak frankly, I don’t like him.)
Generally speaking, men are taller than women.
(一般的に言って、男性は女性より背が高い。)
あえて、分詞構文にする前の文に戻すと下記のようになる。
(When I speak generally, men are taller than women.)
Strictly speaking, his opinion is different from mine.
(厳密に言うと、彼の意見は私のものとは違う。)
あえて、分詞構文にする前の文に戻すと下記のようになる。
(When I speak strictly, his opinion is different from mine.)
6. 【発展】「完了形」の「分詞構文」とは?
「完了形」の分詞構文を説明する。この分詞構文は、話し言葉ではほとんど使用されない。我々非ネイティブの日本人としては、理解できるようにしておけば十分だ。自分で使えるようにする必要性は高くない。
完了形の分詞構文とは、1つのことが他の1つのことの後に起こる場合、先に起こった方を完了形にすること。次の例文をみてほしい。
① Having finished his work, he went home.
(仕事終え、彼は家に帰った。)
「彼」は、「仕事が終わった」後に「家に帰った」ので、2つのことが順番に起こっている。最初に起こった方を、「Having finished」と完了形にしている。
上記①は、次の②に言い換えることができる。
② Because he had finished his work, he went home.
(彼は仕事が終わったので、家に帰った。)
つまり①は、②の下線の部分「Because he」を省略して、「had」を「Having」にしていると考えればよい。なお、②では、彼は「家に帰った」(he went home)前に仕事を終えたので、過去完了形「he had finished」になっている。
また①は、次の③に言い換えることもできる。「After」を使うことにより、「finished」した方が「went」するよりも先に起こったことが明らかなので、「finished」は過去完了形にはなっていない。
③ After he finished his work, he went home.
(彼は仕事が終わったあと、家に帰った。)
上記③は、下記④の分詞構文に言い換えることもできる。2つのことが順番に起こっていることを明確にするために「After」を入れる必要がある。
④ After Finishing his work, he went home.
(仕事を終えたあと、彼は家に帰った。)
7. 【発展】「分詞構文」で「原因・理由」を表す?
分詞構文で「原因・理由」を表す場合を説明する。この分詞構文も、話し言葉ではほとんど使用されない。我々日本人としては、理解できるようにしておけば十分だ。自分で使えるようにする必要性は高くない。
分詞構文は、ある「状態」や「起こったこと」の「原因・理由」を表すこともできる。次の例文をみてほしい。
7.1. 現在分詞の場合
① Feeling tired, I went to bed early.
(疲れを感じたので、私は早くベッドに入った。)
「私」が「早くベッドに入った」理由を「Feeling tired」(疲れを感じた)で説明している。
上記①は、次の②に言い換えることができる。
② Because I felt tired, I went to bed early.
(疲れを感じたので、私は早くベッドに入った。)
つまり①は、②の下線の部分「Because I」を省略して、「felt」を「feeling」にしていると考えればよい。
7.2. 過去分詞の場合
③ Written in simple Japanese, this book is easy to understand.
(シンプルな日本語で書かれているので、この本は理解しやすい。)
「この本」が「理解しやすい」理由を「Written in simple Japanese」(シンプルな日本語で書かれている)で説明している。
上記③は、次の④に言い換えることができる。
④ Because this book is written in simple Japanese, this book is easy to understand.
(この本はシンプルな日本語で書かれているので理解しやすい。)
つまり③は、④の下線の部分「Because this book is」を省略していると考えればよい。
8. 【発展】否定の「分詞構文」とは?
「否定」の分詞構文を説明する。これも話し言葉ではほとんど使われないので、何かで読んだときに理解できるようにしておけばよい。次の例文をみてほしい。
① Not having a car, he has to walk to his office.
(車を持っていないので、彼はオフィスまで歩かなければならない。)
「彼」が「歩かなければならない」理由を「Not having a car」(車を持っていない)という、否定の分詞構文で説明している。
上記①は、次の②に言い換えることができる。
② Because he doesn’t have a car, he has to walk to his office.
(彼は車を持っていないので、彼はオフィスまで歩かなければならない。)
つまり①は、②の下線の部分「Because he does」を省略し、「not」を残して「have」を「having」にしていると考えればよい。
9. 【発展】「独立分詞構文」とは?
この「独立分詞構文」も自分で使えるようにする必要は全くない。話し言葉ではほとんど使われないので、何かで読んだときに理解できるようにしておけばよい。
「独立分詞構文」とは、文の主語と分詞の主語が異なる場合の分詞構文だ。次の例をみてほしい。
① Weather permitting, we are going on a picnic tomorrow.
(天候が許せば、私たちは明日ピクニックに行く。)
「we are going on a picnic」の主語は「we」だが、「weather permitting」の主語は「weather」である。主語が同じではないので、「weather」を省略できない。
上記①は、次の②に言い換えることができる。
② When weather permits, we are going on a picnic tomorrow.
(天候が許せば、私たちは明日ピクニックに行く。)
つまり①は、②の下線の接続詞「When」を省略し、「weather」を残したまま「permits」を「permitting」にしていると考えればよい。
なお、この独立分詞構文「weather permitting」(天候が許せば)はよく使われるフレーズなので、このまま覚えていただきたい。
また、上記で紹介した「フレーズで覚えておきたい分詞構文」は、文の主語と分詞の主語が一致しない場合も多い。その場合は、それらも独立分詞構文になる。
10. 【発展】「with + 独立分詞構文」とは?
この「with + 独立分詞構文」も自分で使えるようにする必要はない。他の簡単な言い方で表現できるからだ。聞いたり読んだりしたときに理解できればよい。
「with + 独立分詞構文」は、同時に起こっていることを補足的に説明するときに使われる。次の例をみてほしい。
10.1. 現在分詞の場合
① She was sitting in a chair with her legs swinging.
(彼女は足を振って椅子に座っていた。)
「彼女」は「座っていた」のだが、同時に「足を振っていた」状況を、「with」と独立分詞構文で補足している。主語は異なるので「her legs」を現在分詞の前に置いている。
上記①は、次の②に言い換えることができる。
② She was sitting in a chair as her legs were swinging.
(彼女は足を振りながら椅子に座っていた。)
つまり①は、②の下線の接続詞「as」と「were」を省略し、を「with」を付け加えていると考えればよい。
なお、「her legs」が「swingしている」ので、現在分詞形の「swinging」になる。
10.2. 過去分詞の場合
③ He is standing with his eyes closed.
(彼は目を閉じて立っている。)
「彼」は「立っている」のだが、同時に「目を閉じている」状況を、「with」と独立分詞構文で補足している。主語は異なるので「his eyes」を過去分詞の前に置いている。
上記③は、次の④に言い換えることができる。
④ He is standing as his eyes are closed.
(彼は目を閉じながら立っている。)
つまり③は、④の下線の接続詞「as」と「are」を省略し、を「with」を付け加えていると考えればよい。
なお、「his eyes」が「closeされている」(受動態)ので、過去分詞形の「closed」になる。
また、あくまで「with + 独立分詞構文」なので、主語が同じ場合でも「with + 分詞」の形にはできない。つまり、次の例文は間違いである。
【間違い】He is sitting on a bench with reading a book.
正解は以下の通り。
【正 解】He is sitting on a bench reading a book.
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