英語のリエゾンを克服すれば、あなたの英語力は飛躍的にアップする。正しいトレーニングを続ければ、リスニング力に留まらず、スピーキング力も向上する。
英語のリエゾンとは何か?なぜ起こるのか?いつ、どのように起こるのか?日本語ではリエゾンはあまり起こらないが英語では頻繁に起こる。日本人には難しい英語のリエゾンをわかりやすく説明しよう。そして、リエゾンを克服するためのトレーニング方法をご紹介しよう。さあ、スティーブ・ジョブスの有名なスピーチとおすすめの教材で練習してみようか。
目次
1. 英語のリエゾンとは?
リエゾン(Liaison)とは、元々はフランス語で起こる音のつながりのこと。フランス語において、通常は発音しない語尾の子音が、次の語頭の母音とつながって発音されることをいう。
下記の英語フレーズ「Check it out!」の例を見てほしい。このフレーズは「調べてみよう!」というニュアンスだが、単語を一つ一つ発音すると「チェック イット アウト」だ。しかし、ネイティブ・スピーカーがノーマルスピードで発音すると「チェッケラゥ」となる。このような英語で起こる音の変化も、フランス語の音のつながりと似ているため「リエゾン」といわれているのだ。
日本の英語音声学では、このように発音が変わることを「音声変化(音変化)」という。音声変化は、大きく分けて「連結」「脱落」「同化」の3種類ある。
ここでややこしいのが、英語音声学では、上記3種類のうちの「連結」(Linking)が「音のつながり」を意味する。「リエゾン」の意味と重複して混乱するので、このコラムでは「リエゾン」のことを、上記3種類全てを含んだ「音声変化」という意味で使うことにする。
2. 英語のリエゾンを克服してリスニング力・スピーキング力アップ
リエゾンを克服すれば、英語のリスニング力は飛躍的にアップする。日本人は総じてリエゾンが苦手だ。だからこそ、克服した時に得られるものは大きいのだ。
リエゾンすると聞き取れないのは、あなたがリエゾンさせて発音できないからだ。自分でもリエゾンさせて発音できるようになれば、スピーキング力にも磨きがかかる。リスニング力とスピーキング力は表裏一体なのだ。
2.1. リエゾンは日本人が英語を聞き取れない最大の理由
日本人が英語を聞き取れない理由は、リエゾンが属する「発音」を含めて4つある。
- 単語・文法の知識が足りない
- 英語の発音を克服していない
- 英語の語順を克服していない
- スピードを克服していない
英語の発音については、リエゾンのほかにも強弱(リズム)やイントネーションなどが含まれるが、日本人にとってはやはりリエゾンが一番手強い。リエゾンは日本語ではあまり起こらない現象なので慣れていないからだ。
なお、日本人が英語を聞き取れない理由についての詳細は、「英語のリスニング|5つの聞き取れない理由と対策&コツ3つを伝授!」を参考にして欲しい。
2.2. リエゾンを克服してリスニング力アップ
リエゾンを克服してリスニング力をアップするには、自分でもリエゾンさせて発音できるようになることが近道だ。自分でもリエゾンさせて発音できるようになって初めて、脳はその音を「音」として認識してくれる。聞き取れるようになるには、何度も繰り返し聞くより、音声をまねて何度も口に出して練習しよう。
2.3. リエゾンを克服してスピーキング力アップ
リエゾンを克服すれば、スピーキング力もアップする。リエゾンさせないで一つ一つの単語をぶつ切りに発音すると、滑らかさがなくなり、ネイティブ・スピーカーにとっては非常に聞き取りにくい日本語的な英語になってしまうのだ。
30年位前にアメリカに留学していた際、「Pat Pat Golf」の看板を見て、アメリカ人の友人の前で「パットパットゴルフ」と日本語的で発音したところ、「What’s that?!」(何それ?!)と笑われた経験がある。「pat」の「t」は飲み込むようにして発音しないのが普通だ(脱落)。ネイティブ・スピーカーにとっては、リエゾンさせないと不自然で、理解してもらえない時もある。
3. 英語のリエゾンは連結・脱落・同化の3種類
英語は、3種類のリエゾンを理解していないと単語と単語の切れ目がわからなくなるため、文字では理解できても音声では理解できないということが起こる。
- 連結(Linking):単語と単語の音がつながること。英単語は、一つ一つ独立して発音されずに、つながって発音されるため、単語の切れ目がわかりにくくなる。
- 脱落(Elision/Reduction):自然な会話スピードでは発音しなくなること。ゆっくりと発話した時には発音される音が、省略され、発音されなくなるので単語が聞き取りにくくなる。
- 同化(Assimilation):単語と単語の音がつながって別の音に変化すること。発音しやすくするために変化させるが、音を変化させることによってスペルと違う音になる。
その外に、はじき音(Flapping)などの特殊な音声変化もあるので、それぞれ例を挙げながらご説明しよう。
4. 英語のリエゾン|連結(Linking)の理由・ルール・例
単語と単語の音がつながる「連結」が起こる理由は、つなげて発音した方が楽だから。単語を一つ一つ単独で発音していたら早く話せないし疲れるからだ。
連結は下記の3つの種類に分けられる。3つの中で一番重要なのが 1.「子音」+「母音」だ。2. と 3. は連結しても理解しやすいが、1. は日本人にとって一番理解しづらい。
- 「子音」+「母音」で音がつながる場合
- 「母音」+「母音」で音がつながる場合
- 「子音」+「子音」で音がつながる場合
以下に、それぞれの例と発音記号に加えて、参考までにカタカナ表記の発音を紹介する。カタカナ発音については、あくまで参考と考えて欲しい。基本、英語の正確な発音はカタカナでは正確に表記できないからだ。
なお、英語の母音と子音、それらの発音記号についての詳細は、「英語の発音記号|日本人が苦手な母音と子音を14のコツで矯正しよう」を参考にして欲しい。
4.1. 「子音」+「母音」で音がつながる場合
4.1.1. 破裂音と母音のつながり
破裂音とは、一旦息を止め、それを一気に解放し「破裂」させる子音だ。
k+母音: | take_up [téikʌ́p] 「テイク アップ → テイカップ」 |
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p+母音: | keep_out [kíːpáut] 「キープ アゥトゥ → キーパゥトゥ」 |
t+母音: | put_on [pútən] 「プットゥ オン → プトン」 |
g+母音: | change_in [tʃéindʒin] 「チェィンジ イン → チェィンジン」 |
d+母音: | hand_in [hǽndin] 「ハンドゥ イン → ハンディン」 |
4.1.2. 摩擦音と母音のつながり
摩擦音とは、唇や歯などで隙間を作って、そこで息を「摩擦」させる子音だ。
f+母音: | half_of [hǽfəv] 「ハーフ オブ → ハーフォブ」 |
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v+母音: | give_up [gívʌ́p] 「ギブ アップ → ギバップ」 |
th+母音: | with_a [wíðə] 「ウィズ ア → ウィザ」 「 th 」の音が濁る場合 |
both_of [bóuθəv] 「ボース オブ → ボースォブ」 「 th 」の音が濁らない場合 |
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s+母音: | dress_is [drésiz] 「ドゥレス イズ → ドゥレスィズ」 「 s 」の音が濁らない場合 |
He’s_always [híːzɔ́ː(l)weiz] 「ヒーズ オーゥェィズ → ヒーゾォーゥェィズ」 「 s 」の音が濁る場合 |
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sh+母音: | brush_up [brʌ́ʃʌ́p] 「ブラッシュ アップ → ブラッシャップ」 |
4.1.3. その他の子音と母音のつながり
m+母音: | I’m_on [áimən] 「アイム オン → アイモン」 |
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n+母音: | Can_I [kænái] 「キャン アィ → キャナィ」 |
l+母音: | tell_us [télʌ́s] 「テル アス → テラス」 |
r+母音: | cheer_up [tʃíərʌ́p] 「チア アップ → チアラップ」 |
4.2. 「母音」+「母音」で音がつながる場合
母音+母音: | go_ahead [góuwəhéd] 「ゴゥ アヘッド → ゴゥワヘッド」 [w](ワ)の音が入る。 |
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you_about [júː wəbáut] 「ユゥ アバウトゥ → ユゥワバウトゥ」 [w](ワ)の音が入る。 |
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May_I [méi j ái] 「メイ アイ → メイャイ」 [j](ユ)の音が入る。 |
4.3. 「子音」+「子音」で音がつながる場合
子音+y: | take_you [téik j júː] 「テイク ユー → テイキュー」 [j](ユ)の音が入る。 |
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help_you [hélp j júː] 「ヘルプ ユー → ヘルピュー」 同上 |
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子音+u: | than_usual [ðən j júːʒuəl] 「ザン ユージュアル → ザンニュージュアル」 [j](ユ)の音が入る。 |
in_union [in j júːnjən] 「イン ユニォン → インニュニォン」 同上 |
5. 英語のリエゾン|脱落(Elision/Reduction)の理由・ルール・例
音が発音されなくなる「脱落」が起こる理由は、発音しない方が楽だから。全てをきっちり発音していたら早く話せないし疲れるからだ。
脱落は下記の2つの種類をおさえておこう。
① 子音 + 子音で音が落ちる場合
② 文末の破裂音が落ちる場合
5.1. 子音 + 子音で音が落ちる場合
5.1.1. 破裂音 + 破裂音で音が落ちる場合
p+破裂音: | stop calling [stá(p)kɔ́ːliŋ] 「スタップ コーリング → スタッコーリング」 [p]の音が発音されていない。 |
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b+破裂音: | club president [klʌ́(b)préz(i)dənt] 「クラブ プレジデント → クラップレジデント」 [b]の音が発音されていない。 |
t+破裂音: | wet towel [wé(t)táuəl] 「ウェットゥ タゥェル → ウェッタゥェル」 [t]の音が発音されていない。 |
d+破裂音: | good time [gú(d)táim] 「グッドゥ タィム → グッタィム」 [d]の音が発音されていない。 |
k+破裂音: | take care [téi(k)kέər] 「テイク ケア → テイッケア」 [k]の音が発音されていない。 |
g+破裂音: | strong pitcher [strɔ́(ː)ŋpítʃər] 「ストロング ピッチャー → ストロンピッチャー」 [g]の音が発音されていない。 |
5.1.2. 破裂音 + 摩擦音で音が落ちる場合
p+摩擦音: | top floor [tá(p)flɔ́ːr] 「タップ フロアー → タッフロアー」 [p]の音が発音されていない。 |
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b+摩擦音: | job center [dʒá(b)séntər] 「ジョブ センター → ジョッセンター」 [b]の音が発音されていない。 |
t+摩擦音: | sit there [sí(t)ðέər] 「シット ゼア → シッゼア」 [t]の音が発音されていない。 |
d+摩擦音: | send them [sén(d)ðém] 「センド ゼム → センゼム」 [d]の音が発音されていない。 |
k+摩擦音: | black shirt [blǽ(k)ʃə́ːrt] 「ブラック シャートゥ → ブラッシャートゥ」 [k]の音が発音されていない。 |
g+摩擦音: | flag ship [flǽ(g)ʃíp] 「フラッグ シップ → フラッシップ」 [g]の音が発音されていない。 |
5.1.3. 破裂音 + 子音(破裂音・摩擦音以外)で音が落ちる場合
破裂音+l: | top level [tá(p)lévl] 「タップ レヴェル → タッレヴェル」 [p]の音が発音されていない。 |
---|---|
破裂音+m: | hot milk [há(t)mílk] 「ハットゥ ミルク → ハッミルク」 [t]の音が発音されていない。 |
破裂音+n: | just now [dʒʌ́s(t)náu] 「ジャストゥ ナゥ → ジャスナゥ」 同上 |
5.1.4. 子音 +「h」で「h」が落ちる場合
子音+h: | could have [kúd(h)əv] 「クッドゥ ハヴ → クダヴ」 [h]の音が発音されていない。 |
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call him [kɔ́ːl(h)ím] 「コール ヒム → コーリム」 同上 |
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could he [kúd(h)íː] 「クッドゥ ヒー → クディー」 同上 |
5.2. 文末の破裂音が落ちる場合
文末の破裂音: | I did it. [ái dídí(t)] 「アイ ディドゥ イットゥ → アイディディッ」 [t]の音が発音されていない。 |
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I’ll go walking. [áil góu wɔ́ːkiŋ] 「アイル ゴゥ ワーキング → アイゴゥ ワーキン」 [walking]の[g]の音が発音されていない。 |
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I’ll do that. [áil dúː ðǽ(t)] 「アイル ドゥ ザットゥ → アイル ドゥ ザッ」 [that]の最後の[t]の音が発音されていない。 |
6. 英語のリエゾン|同化(Assimilation)の理由・ルール・例
「同化」は連結と似ている。同化は、音がつながったときに「スペルとは違う音」になる。連結の場合も音つながった時にその音が変化するが、スペルと違う音にはならない。
同化が起こる理由は、つなげて音を変えた方が楽だから。音をつなげたときにスペル通りに発音していたら流れるように発音できず疲れるからだ。
同化は、「s」・「t」・「d」+「y」の3つをおさえておきたい。
「s+y」: | miss_you [mís(ʃ)júː] 「ミス ユー → ミシュー」 「ス」が「シュ」に変化 |
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was_your [wʌ́z(dʒ)júər] 「ワズ ユア → ワジュア」 「ズ」が「ヂュ」に変化 |
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「t+y」: | Not_yet [nát(tʃ)jét] 「ノットゥ イェットゥ → ノッチェットゥ」 「トゥ」が「チェ」に変化 |
get_you [gét(tʃ)júː] 「ゲットゥ ユー → ゲッチュー」 「トゥ」が「チュ」に変化 |
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「d+y」: | Did_you [díd(dʒ)júː] 「ディドゥ ユー → ディジュー」 「ドゥ」が「ヂュ」に変化 |
7. 英語のリエゾン|はじき音(Flapping)他
連結・脱落・同化以外の重要な音声変化についてご説明しよう。アメリカ英語で起こる「はじき音」(Flapping)と、主にカジュアルな会話で頻繁に起こる特殊変化の3つだ。
7.1. はじき音(Flapping)
はじき音(Flapping)とは、破裂音の「t」「d」を破裂させないで、日本語の「ラ」行に近い音になること。厳密には「l」の音に変化する。はじき音が起こる理由は、破裂させない方が楽だから。アメリカ英語でのみ起こる。イギリス英語ではちゃんと破裂させて発音する。
母音にはさまれた「t」 | water [wɔ́ːtər] 「ウォーター→ ウォーラー」 「ラー」は、舌先を上前歯の歯茎に一旦あてて、離しながら発音する。 |
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letter [létər] 「レター → レラー」 同上 |
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better [bétər] 「ベター → ベラー」 同上 |
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母音にはさまれた「d」 | ladder [lǽdər] 「ラダー → ララー」 「ラー」は、舌先を上前歯の歯茎に一旦あてて、離しながら発音する。 |
medal [médəl] 「メダル → メル」 「メ」と発音した直後に、舌先を上前歯の歯茎に当て、離さないまま「d」を発音する(舌先を離さない代わりに、舌の両側から息を出すようにする)。 |
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model [mádl] 「モデル → モル」 同上 |
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「t+l」 | little [lítl] 「リトゥル → リル」 「リ」と発音した直後に、舌先を上前歯の歯茎に当て、離さないまま「t」を発音する(舌先を離さない代わりに、舌の両側から息を出すようにする)。 |
battle [bǽtl] 「バトゥル → バル」 同上 |
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turtle [tə́ːrtl] 「タートゥル → タール」 同上 |
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「d+l」 | middle [mídl] 「ミドゥル → ミル」 「ミ」と発音した直後に、舌先を上前歯の歯茎に当て、離さないまま「d」を発音する(舌先を離さない代わりに、舌の両側から息を出すようにする)。 |
handle [hǽndl] 「ハンドゥル → ハンル」 「ン」を発音したら、そのまま舌先を前歯の歯茎につけたまま「d」を発音する(舌先を離さない代わりに、舌の両側から息を出すようにする)。 |
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deadline [dédlàin] 「デッドライン → デッライン」 「デッ」と発音した直後に、舌先を上前歯の歯茎に当て、離さないまま「d」を発音する(舌先を離さない代わりに、舌の両側から息を出すようにする)。 |
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「t」+母音 | What is it? [hwʌ́tizít] 「ワットゥ イズ イットゥ → ワリズィッ」 「what」の「t」が破裂されずに「ラ」行に変化している。 |
Check it out! [tʃékítáut] 「チェック イットゥ アウトゥ → チェッケラゥトゥ」 「it」の「t」が破裂されずに「ラ」行に変化している。 |
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Not at all [nátətɔ́ːl] 「ナットゥ アットゥ オール → ノラロー」 「not」と「at」の「t」が破裂されずに「ラ」行に変化している。 |
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「d」+母音 | Could I [kúdái] 「クッドゥ アイ → クライ」 「could」の「d」が破裂されずに「ラ」行に変化している。 |
did it [dídít] 「ディッドゥ イットゥ → ディリットゥ」 「did」の「d」が破裂されずに「ラ」行に変化している。 |
7.2. 口語で重要な特殊変化
会話でよく出てくる特殊な音声変化の中で、必ず知っておきたい基本の3つを紹介しよう。これら3つはカジュアルな表現だが、ビジネスシーンでもよく使われる。ただし、書きことばとしては使用しない方がよい。
「want to → wanna」 「ウォントゥ → ワナ」 |
I want to do it. → I wanna do it. 「アイワナ ドゥーイットゥ」 |
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「going to → gonna」 「ゴゥイングトゥ → ガナ」 |
I am going to do it. → I’m gonna do it. I am not going to do it. → I’m not gonna do it. |
「have to → gotta」 「ハフトゥ → ガラ」 |
I have to do it. → I have got to do it. → I’ve gotta do it. 会話では「have to」に「got」が入る場合がある。意味は同じ。 「アイヴガラ ドゥーイットゥ」 「gotta」の「tt」が破裂されずに「ラ」行に変化している。 |
8. スティーブ・ジョブズから学ぶ英語のリエゾン
2005年にスタンフォード大学の卒業式で行われたスティーブ・ジョブズのスピーチを使って、実際どのようにリエゾンが起こっているのか確認してみよう。冒頭の1段落だけだが、リエゾンが起こる頻度に驚くだろう。リエゾンと単語・文法の説明を付けたので、下記9.でご紹介するトレーニング方法を参考に練習してほしい。
尚、このスピーチは上級者向けなので、初・中級者の方は下記でご紹介する教材で練習することをおすすめする。
Thank You. I am honored to be with you today for your commencement from one of the finest universities in the world. Truth be told I never graduated from college and this is the closest I’ve ever gotten to a college graduation. Today I want to tell you three stories from my life. That’s it. No big deal. Just three stories.
リエゾン解説:
commencement from: “commencement” の “t” は破裂されずに脱落し発音されていない。
one of: “one” と “of” が連結して「ワノヴ」 に変化。
finest universities: “finest” の “t” は破裂されずに脱落し発音されていない。
graduated from: “graduated” の最後の “d” は破裂されずに脱落し発音されていない。
gotten to: “gotten” の “tt” は破裂されずに、脱落気味に「ウン」と飲み込むように発音されている。
want to: 口語では通常 “wanna” /wánə/「ワナ」と発音される。
from my: “from” の “m” が脱落して発音されていない。次も “my” の “m” が来るため。
That’s it: “That’s” の “s” と “it” の “i” が連結、そして “it” の “t” は破裂されずに脱落して「ザッツィッ」のように変化。
big deal: “big” の “g” は破裂されずに脱落し発音されていない。次も破裂音の “d” が来るため。
Just three: “just” の “t” は破裂されずに脱落し発音されていない。
単語・文法解説
honor /ánər/ (動) 光栄と感じさせる ⇨ be honored to ~: ~して光栄です
commencement /kəménsmənt/ (名) 卒業式: 動詞commence /kəméns/ は「始まる」の意。その名詞「始まり」から「卒業式」の意。
truth be told: 「真実は語られる」から「実を言うと」の意。
I (have) never graduated ~: 現在完了形の “have” が省略されている。
this is the closest I have ever gotten to a college graduation: “this” は「この場」のこと。 “the closest” は「一番近いところ」の意。次の “I” 以下がどのような「一番近いところ」かを説明している。 “closest” の後に “place where (関係副詞)” を入れると理解しやすい。 “get to ~” は「~に到達する」。「経験」を表す現在完了形で、全体の意味は「この場所は、私が今までに大学の卒業式というところに到達した一番近いところ」
that’s (that is) it: 「ただそれだけです」の意。“that’s (that is) all” と同じ意。口語では良く使用される。
deal /díːl/ (名) 取引 ⇨ no big deal: 「大きな取引ではない」から「大したことはない」の意。
このスティーブ・ジョブズのスピーチ全文のリエゾン解説と単語・文法解説は別途記事にするので参考にしてほしい。
9. 英語のリエゾンを克服のための簡単発音トレーニング法7選
英語のリエゾンを克服するためのトレーニング方法を7つご紹介しよう。上の図のように、7つとも「目」「耳」「口」の3つのうち2つ以上を使うトレーニングだ。The English Clubでは「自動化トレーニング」を呼んでいる。なぜなら、聞けるようになるだけではなく、自分でも無意識的、「自動的」に使えるようにするためのトレーニングだからだ。
それぞれのトレーニングを単独で行っても、繰り返し行なえば効果はある。しかし、上の図のように、他のトレーニングと組み合わせてステップを踏んで行うと更に高い効果が期待できる。慣れてきたら、音読とシャドーイングだけを繰り返せばよい。
なお、これらのトレーニングは、意味を意識しながら行なえば、英語脳の基礎づくり・強化にもつながる。しかし、注意してほしいことは、リエゾンを意識してトレーニングするときと、意味を意識してトレーニングするときとは分けることだ。人間の脳はマルチタスクが苦手だ。2つを同時に意識しながら行うことはできない。「2兎を追うものは一兎も得ず」だ。
なお、英語脳についての詳細は、「英語脳の作り方|8つの自動化トレーニングで英語回路を構築しよう!」も参考にして欲しい。
9.1. アイシャドーイング(Eye-shadowing)の方法と効果
音声を聞きながら英文を目で追う。リエゾンが起こっているところに注意して繰り返し聞いてみよう。その際、リエゾンのところにしるしを付けておくと便利だ。例えば、連結や同化のところは「one_of」、脱落のところは「commencemen(t) from」などだ。
アイシャドーイングの目的は、文字が発音されたときの音を確認すること。つまり、文字と音をつなげることだ。加えて、意味と文の構造 (文法・構文) を意識して行なえば、英語の語順の脳回路の基礎を作る。
9.2. リップシンク(Lip sync)の方法と効果
英文を目で追いながら音声を聞き、ぴったりと合わせて唇(lip)をシンクロ(sync)させて動かす。口パクだ。リエゾンのしるしを付けたところを、口の動かし方に注意しながら何度も練習してみよう。
リップシンクの目的は、文字を発音するときの口の動かし方を確認すること。つまり、文字と口の動かし方をつなげることだ。また、意味を意識して行うことで、処理速度が上がり、英語の語順の脳回路の強化につながる。
9.3. リピーティング(Repeating)の方法と効果
音声を聞きながら英文を目で追い、音声を一旦止めて音読する。1センテンス毎に行う。リエゾンのところを、音声とそっくりに発音できるように口の動かし方に注意しよう。
リピーティングの目的は、口の動かし方と実際の音を確認すること。つまり、口の動かし方と音をつなげることだ。また、意味を意識して直ぐにリピートすることで、英語を英語のまま理解する能力が向上する。長めのセンテンスを使用すると、文法力とスピーキング力の強化にもつながる。
9.4. マンブリング(Mumbling)の方法と効果
音声を聞きながら、そして英文を目で追いながら、音声に合わせて小さな声でぶつぶつ発音する。特にリエゾンのところを、口の動かし方に注意しながら、遅れないようについていこう。
マンブリングの目的は、口をスピードに合わせて動かすこと。つまり、口の動かし方とスピードをつなげることだ。また、意味を意識して行うことにより、処理速度も上がり、英語の語順の脳回路の強化につながる。
9.5. オーバーラッピング(Overlapping)の方法と効果
音声を聞きながら、そして英文を目で追いながら、音声にぴったり合わせて発音する。マンブリングとの違いは、ぶつぶつ発音するか、はっきり発音するかの違いだけだ。口の動かし方に注意しながら遅れないようについていこう。
オーバーラッピングの目的は、マンブリングと同じく口の動かし方とスピードをつなげることだ。また、意味を意識して行うことにより、処理速度の更なる強化につながる。
9.6. 音読の方法(Reading aloud)と効果
英文を見ながら大きな声で読む。特にリエゾンのところを、口の動かし方を意識しながら、音声と全く同じように発音しよう。スピードはあまり気にしなくてよい。
音読の目的は、文字と音と口の動かし方の3つをつなげることだ。また、意味を意識しながら音読することで、文の構造を無意識的に理解できるようになり、英文を前から理解する脳回路の基礎を作る。英語トレーニングの基本中の基本トレーニングだ。
音読の効果とやり方の詳細については、「英語の音読|正しいやり方で4技能に効果あり!7つのコツと教材選び」が参考になるはずだ。
9.7. シャドーイング(Shadowing)の方法と効果
英文を見ないで、音声を1~2語遅れて追っかけながら大きな声で発音する。特にリエゾンのところを、口の動かし方とスピードを意識しながら、音声と全く同じように発音しよう。
シャドーイングの目的は、文字と音と口の動かし方とスピードの4つをつなげることだ。また、意味を意識して行うと、英語脳強化の仕上げのトレーニングになる。通訳の方の基本中の基本のトレーニング方法だ。
シャドーイングの詳しい効果とやり方については、「英語のシャドーイング|4種類のやり方と効果&6のコツを徹底解説!」が参考になるはずだ。
10. 英語のリエゾントレーニング用おすすめ教材3選
ご紹介したトレーニング法にマッチした教材を3冊ご紹介しよう。必ず、自分の英語レベルに合ったものでトレーニングを行ってほしい。
改訂版 キクタン リーディング【Basic】4000[アルク]¥1,400+税
キクタンシリーズの単語集。比較的長い例文が多く掲載されているのリエゾンのトレーニングに適している。音源のスピードはナチュラルより遅め。「Entry」「Basic」「Advanced」「Super」の4つのレベルがある。初・中級者向け。単語も覚えられるので効率的。
Business Venture 2[Oxford University Press]¥4,000程度
通常、会話演習に使用する教材。CDに収録されている会話の音声がリエゾンのトレーニングに適している。単語と文法はやさしいが、スピードはナチュラルなので、中級者以上の方向け。仕事でよく使用される表現や言い回しも覚えられるので効率的。
CNNニュース・リスニング[朝日出版社]¥1,000+税
The English Clubで[自動化トレーニング]用に使用している教材の一つ。CNNの実際のニュース音声と、遅めのもの、区切ったものと3種類の音声が録音されているので、リエゾンのトレーニングがしやすい。ただし、難しい単語、文法、表現が含まれるので上級者向け。
11. 英語のリエゾン|まとめ
- 英語のリエゾンとは、音がつながることによって起こる音声変化のこと。「連結」「脱落」「同化」の3種類ある。日本人が英語を聞き取れない最大の理由だ。リスニング力だけではなく、スピーキング力をアップのために克服しよう。
- 「連結」「脱落」「同化」が起こる理由は「楽」だから。連結の3種類、脱落の2種類、同化の3種類のルールと例をおさえておこう。「はじき音(Flapping)」と、会話で頻繁に起こる3つの特殊な変化も忘れずに。
- スティーブ・ジョブズのスピーチを確認すると、英語のリエゾンが起こる頻度に驚かされる。その重要性が理解できるだろう。
- 英語のリエゾンを克服するための基本トレーニング法の7つをあなたの英語学習に是非取り入れて欲しい。意味を意識して行なえば英語脳の構築・強化にもつながる。
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